「イベリコ……何故君がこんな所に?……そうか!君が結婚の話を断ったもんだから、ブタフィは君をここへと閉じ込めたって事か!

よりによって我が国の姫君を牢獄へ監禁するとは……だが、心配は無いよイベリコ!君の事は絶対に俺が護ってみせる!」


そこにいるのがイベリコに似ているだけの子豚だとは全く知らないロースは、思いもよらぬ愛する者との再会に次の瞬間には、いきなり子豚を抱きしめていた。


「イベリコ!」


「ちょ、ちょっと……」


あまりに突然の事に戸惑う子豚だったが、しかしロースがなかなかのイケメンだったので、これといって抗う事もしない子豚。


かわりに、周りの三人がロースと子豚を引き剥がしにかかる。


「違うんだよ!彼女はイベリコじゃあ無いんだ!」


「顔はそっくりだけど別人なの!だからちょっと離れて!」


「なに?」


目の前のこの女性がイベリコでは無いと言われても、どこから見たって彼女はイベリコではないか!


そう思ったロースは、それを確認してみた。


「君がいつも心に留めている、好きな『格言』は?」












「『満腹でも、プリンは別腹』よ!」


「どうやら、君達の言っている事は本当らしい……」


あっさりと子豚に背を向け、ロースはそう呟くのだった。



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