「やい、ブタフィ!何て事しやがる!オイラのケータイ壊しやがって!」


「そうだよ!ケータイ壊すなんてサイテー!シチローのだからいいけど、あたしのだったら絶対許さない!」


「ひとこと余計だ、ひろき!オイラのだったらいいのかよっ!」


「えっ、なんで怒るの?あたし味方してあげてるのに……」


「今のが味方って言うのか!あれ、いくらしたと思ってるんだっ!」


「そんなの、あたしのじゃないから知らないもん!」


「お前達、誰に向かって怒っているんだ……?」


ちょっと間の抜けた二人の抗議に対し、ブタフィは少し困惑していたようだったが、すぐに気を取り直しシチローにこう告げるのだった。





「そんなに激怒する事もあるまい。
何故なら、この後処刑されるお前達にはもうケータイなど必要の無い物だからだ!」



「処刑?」



チャリパイの驚いた顔が、一斉にブタフィの方へと向けられた。


その顔を満足に見回しながら、ブタフィは後を続ける。


「私に対してかつてこれ程までに歯向かったのは、お前達が初めてだ!
それ相応の裁きをせねば軍に対して示しがつかん!」


「………………」


辺りには重苦しい沈黙が漂った。


中でも一番辛辣な表情をしていたのは、チャリパイの四人よりもむしろイベリコの方だった。


(私のせいで…………)


自分がサムライなどを捜しに日本へと行ったばかりに、この四人をこんなにも酷い目に遇わせてしまった。


イベリコにはそれが、悔やんでも悔やみきれなかった。



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