「見て~コブちゃん♪ヒゴー達が表に来てるよ♪」


「ヤッホー♪ヒゴ~~ジモ~ン~~リュ~ヘ~~♪あとハゲタ~~♪」


宮殿の庭には、雄叫びを上げながら走り回るダチョウ達の姿があった。


子豚とひろきは、無邪気にヒゴー達に向かって手なんか振っていたが、その二人にシチローからの鋭いツッコミが飛ぶ。








「おい!お前ら呑気に手なんか振ってる場合かっ!
ダチョウの前にあのヘリ部隊に気がつけよっ!」


「あ……ホントだ、ヘリが停まってる……」


「今気付いたのかっ!」


シチローの言う通り、予定よりも大幅に早くブタフィ軍のヘリ部隊が宮殿へと戻って来てしまっていた。


作戦では、104羽のオトリダチョウがあと三十分は時間を稼いでくれる手筈だったのだが、突然、四羽のダチョウが群れを離れ宮殿に戻って来るという予定外のハプニングが起きた。


ターゲットを絞り込めずに困り果てていたヘリ部隊は、これ幸いとヒゴー達を追いかけて宮殿へと戻って来た訳である。


「クソッ!ダチョウが戻って来るなんて、とんだ誤算だった!」


「考えてみればこのコ達、イベリコのペットだったのよね……ハゲタは違うけど……」


てぃーだが冷静に分析するが、それよりも今はこの場所から逃げ出す事が先決だ。


「こうしちゃいられない!みんな、早くここから脱出するぞ!」


「イェッサーー!」


ブタフィ軍に捕まれば、今までの苦労が全て水の泡である。シチローは慌てて部屋のドアノブに手を掛けるが…………



時は既に遅し…………



「うっっ……!」


ドアを開けた先に立っていたのは、銃を構えた兵士が数人。


シチロー達は、その場で両手を挙げる事しか出来なかった。



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