「なんだ、あれは……」


宮殿から双眼鏡でチャリパイの様子を覗いていたブタフィは、顔をしかめた。


(あの金ピカの衣装はなんだ?
顔を白く塗っているのは何の為なのだ?………ニッポンの伝統文化に『カブキ』というものがあると聞いたが、あれがそのカブキというものなのか?)


あのバカ殿扮装を、日本の由緒ある伝統文化の歌舞伎と思われてはたまらないところだが……


それは良いとして、意味不明な出で立ちといい、たった四人でこの軍に立ち向かって来る事といい、ブタフィはこのチャリパイの行動を、ブタフィ軍に対する侮辱と受け取った。


「イベリコ姫……姫には申し訳ないが、あんな連中は我々の軍に掛かればものの五分、いや一分で捻り潰してご覧にいれます。ヘタな希望は抱かぬ方が身のためですぞ」


そして、ブタフィはチャリパイを迎え撃つ為に兵を送り込むのだが、驚いた事にブタフィは、たった四人のチャリパイを撃退するのに、宮殿で待機していたほぼ全ての陸軍部隊を出動させたのだ。


「あの愚かな四人に、我が軍の圧倒的な戦闘力を見せつけてやるのだ!」


凄まじい砂埃を巻き上げながら、出て来る、出て来る、およそ二十数機の戦車とその倍は有りそうな数の装甲車。


そして、ライフルを抱えた兵士が、ずらりと二百名はいるだろうか……まさに、圧倒的な力の差を誇示するように宮殿の前に立ちはだかり、チャリパイを威圧した。



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