「え~と…野菜は買ったし、豆腐は買ったし、後は肉だな♪」


ある日曜日の夕方。
森永探偵事務所から少し離れた所にある『まごころ商店街』には、今夜事務所で行われる『スキヤキパーティー』の具材を買い出しに訪れたシチローとひろきの姿があった。


「シチロー♪
ビールは買わないの?」


「ビールは事務所に“酒屋ができる位”あるだろ~がっ!」


まったく、毎度の事ながら、ひろきのビール好きには呆れるばかりである。


もしかしたらひろきは、ビールを燃料にして動く新しいタイプのロボットか何かではないのか?
……なんて思ってしまうくらいだ。


でも、だとすれば、それは画期的な発明なのかも……


いや、でも待てよ?
リッター換算すればビールはガソリンよりも断然高価い訳だから、これ程無意味な発明も無いもんだ。


「やっぱり、お肉は掴み合いになるから沢山買わないとね♪」


「確かこの先に肉屋がある筈なんだよな……」


「え~と、お肉屋さんは…………あれ?」


肉屋を探して周りをキョロキョロとしていたひろきが、ふと、人混みを指差しながら声を上げた。