「……波留!!」

尚輝は私の腕を掴んで引き寄せた。


「尚輝…さよならだね…」


「お前…」


「『お前』じゃないよ。

波留。桂木波留」


「波留…!!波留…波留…」

尚輝は何度も私の名前を呼んだ。


「尚輝、顔上げて」


鼻をすすりながら上げた尚輝の顔は泣いたからか、赤かった。


「ふふっ…顔真っ赤…」


「…………」


「…………」


目を見つめてから、ゆっくり唇を重ねた。