治まれ、私の胸の鼓動。
なんで名前ごときでこんな動揺してんの!?
私らしくない…………あれ?私らしいって、何だっけ?

「璃子先輩?」

「わぁ!」

「どうかしたんですか?」

「どうもしないし」

こんなんバレたらからかわれ……いや調子に乗る!
それになんか私が柴をloveの方で好きみたいになっちゃうじゃん!?

それだけは避けねば!!

「先輩、前言ったじゃないですかぁ……。
嘘つくの下手だって」

「あんただって人のこと言えないくせに」

それに私は、そんなの知らないし。

「今はそんなの関係ないです」

なんだか微妙な空気になってきたところで映画館が見え始めた。

「あ!柴、ほら映画館だ。早く行こう」

「え!?あ、ちょ……せんぱーい!!」

私は柴をグイグイ引っ張り、あまりに引っ張りすぎたため、柴の腕から私の腕が抜けた。