「美那都」

よく見れば美那都は若干涙目だ。

「ありがとう」

私は、二人が知ってくれているだけで、充分。

それ以上は、望まないから。


「ねぇ璃子」

「何?」

「まさかとは思うけどさ」

華音はここであり得ないことを口にした。

「柴君のこと、好き?
いや、好きまではいかないか……それじゃあ
気になる?」

意識をしてる?

そう質問してくる華音に私は黙った。

「璃子にゃんそれは私も思ったよ」


「そんなわけ、ないじゃん」

絞り出した。
やっとのことで出した答え。

そんなわけない。


「あんたそうやって自分の気持ちを押さえつけんの?」

「押さえつけてなんか……」

図星だった。

気になるな、だとか
いいな、だとか

そんな可愛いモノではなかったけれど。


柴なら臆病になった私を変えてくれるかなって

期待した。


淡い期待を抱いてしまった。