樋山 紗耶香ちゃん……。
なんで……

「だから誰よりも知ってるんですよ」

なんでそんなに喧嘩腰?

なんか勘違いしてるよね、紗耶香ちゃん。

「あ、先輩、是非紗耶ちゃんって呼んで下さいね」

「あ……うんわかった」

人の良さそうな笑顔を浮かべる紗耶ちゃん。

その時、私のケータイが震えた。

「あ、ごめん……メールきたっぽい」

開いてみれば差出人は柴。

は?
何コレ。

《先輩に黙ってたのはコイツのことです。》

ふーん。
成る程ね。

「璃子先輩、どうかしました?」

「ううん、何にもないよ」

何やら面倒くさい事情がありそうだ。
だから私を巻き込まないでくれ。

「それよりも稟汰。何で私わざわざこんなところに呼び出されたのかなぁ?」

是非、巻き込まないでくれ。
本当に本当に!!

「……紗耶香」