「出掛けないか」
凱は夕食の片付けをしながら、話を持ち掛ける。

「これから?」

外はもう暗いから、気にしているのだろう。
彼女の思考回路はシンプルであることに、最近気づいた。


「君の時間を俺の旅行は奪わない」


「そうなの?」

「笑うなよ、本当だ。
現実と異空間の時間は関係がない」


微笑んだ唇がとても綺麗な形をしていた。

「ご好意に甘えます」