「もしもし」


「あ、癒魅ちゃん。出てくれたぁ」


え、電話出るの当たり前じゃない?


「え?」


「もしかしたら、出てくれないかと思って」


「まさか、丘崎先生の電話は、絶対出ますよ」


「あはは、そう言ってくれると、嬉しいな♪」


なんたって、丘崎先生の電話だもん。


超貴重だし。


「ふふ、あ、そういえば、塾お疲れさまです」


「ありがと♪疲れた~、んで、寒い」


「ふふ、いま冬ですもんねぇ、お疲れ様です」


「ありがと♪」


丘崎先生、なんだか可愛いい。


「癒魅ちゃん、冬は、好き?」


「え?好きですよ。雪キレイだし、クリスマスあるし」


「そっかぁ……」


ん?なんだか、丘崎先生の声、悲しそう……。


「丘崎先生…」


「ん?」


「やっぱり、何でもない」


「そっか」


ねぇ、丘崎先生、今誰の事考えてる?


誰を思ってるの?


丘崎先生の過去には、何があるの?


その後、しばらく無言が続いた。


「癒魅ちゃん、彼氏とかいる?」


「いませんよ。てか、丘崎先生、ナンパしてるように聞こえるよ?」


「はは、そう?……そっかぁ、彼氏いないのかぁ」


「なんで?」


「ん~、なんとなく。癒魅ちゃんかわいいから、彼氏いるのかなぁと思って♪」