『翔はそれでいいのっ?!』
“好きなんでしょ” とか
“奪っちゃいなよ” とか
“バカじゃないの” とか
散々煽ったけど
それに対して翔は
何も言わずに黙ってテレビを見詰め続けてた
『…最初から…わかってて
そうなったの…?』
めんどくさそうに
その質問には答えてくれる
『…バレンタインの日に聞いた』
『…なんて』
『真田くんのは 手作りじゃなくてごめんね って』
そんなコト聞いても
先生から貰ったチョコは
大事に仕舞ってたのにね…
先生のこと
大好きなのにね…
『…今なら間に合うでしょ…
結婚…潰しちゃいなよ』
『アホか…(笑)』
『私、真剣なんだけど』
『無理だよ』
『わかんないで………』
『フられたから
俺
さっき
フられたから』
『は…?』
『もう終わり なんだと』
『…それ…今日…?』
『ついさっき』
『お前はいつも
俺がヘコんでるとき
突然来んのな』
『ごめん…』
翔の気も知らないで
自分のことばっかで…
『謝んなくていいよ
ぶっちゃけあの日は
お前のこと
ヤっちゃおうと思って
うち連れてったし』
悲しい目をした翔は
取り繕うように笑って
思い出話を続ける
その思い出話は
この後もっと痛い
傷になる