ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜

「君が、何を悩んでかは知らないけど、その悩みを今日まで気付いてあげられなかった事を落ち込む子や君を好きと思っている男の子はがっかりするだろうな…。それに何より君の親は辛いはずだ…。残された身から言わせてもらうと、たまらなく辛いぞ…。」

杉山も奈月を見た。


「……。」


その杉山は、本当に哀しい目をしているように奈月には見えて、言葉が出なかった。


「残される人を、少しでも考えられるなら…。」




その後、二人は長い間黙ったままになった。