ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜

「いや〜、あっちゃん!」

対面に戻った女子から悲鳴があがりはじめた頃、
保田は真中の所へ泳ぎ着いた。

保田は、真中をプールサイドへ押しあげると呼吸の確認をした。


「息していない!」

保田の叫びに、更に悲鳴やざわめきが起こる。

「救急車、あと保健室の先生を頼む!」

心肺蘇生をはじめながらの保田の声に、
プールの入口に近い生徒が裸足で校舎に走って行った。