ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜

保田と真中までは、10メートルほどは離れている。

『なんで泳ぐんだよ…。走って来ればいいのに…。』

でも、そう感じている杉山がプールに入るのが一番早いのだ。

なにしろ、1メートルちょっとの所にいるのだから。

しかし、まだ体を動かす事はできなかった。

目の前の出来事に萎縮して声すら出せないでいたのだから。