ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜

「どうせ、死んじゃうんなら…。」

奈月は背負っていたランドセルを足元に置いた。

「苦しくなるの…嫌だもん…。」

一歩、川へと足を運んだ。

「水…冷たいかな…。」

また一歩足を運ぶ。

河原を通り抜ける風が、奈月の腰まで届きそうな黒髪を靡かせた。

そして奈月が、水際まで来た頃だった。