ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜

「…治せるかな?……心の傷…」


「そうね…、手術できないからね、心の傷は…。」

藤崎は、間をあけて再び話した。

「奈月ちゃんが治してあげる?…手術から生還したら…。」

「えっ!?生還って…。充のは良性腫瘍なんでしょ?取ってしまえばって…。」

奈月は、びっくりして歩みを止めた。

「患部はね…。」

「どういう事ですか?」

藤崎の沈んだ声に奈月は不安を感じていた。