ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜

「9時過ぎた。」

飲食の制限時間が過ぎている事に藤崎は気付いていた。


「え〜、話し疲れて…。一口だけでも…。」

杉山は、訴えみるが藤崎は首を横に振る。

「だって、手術が午前中の人も同じ9時までなんでしょ?俺、午後からだし…。」

続く杉山の哀願の言葉にも、藤崎は大きく首を振る。

「そんな〜。」

「あきらめちゃえ。」

天を仰ぐ杉山から、奈月がペットボトルを取り上げ、自分で飲み始めた。