「お前らだって、お姫様だっこで。溺愛しすぎか。」



「じゃあそういうことで。」





嫌みのような声でのやり取り。




真央はきっと驚いているだろう。




普段の魁人ならこんな機嫌の悪い声は出さない。




「でっ、溺愛ってそんなんじゃないもん。」



すると晴は少し笑って、また走りだした。



最悪な一日で、ある意味最高な1日が、幕を下ろした。





無事(?)体育館に着いたころには、もうくたくた。





「怜桜。」




不意にまじめな顔をする晴に少し驚いた。




「なぁに?。」




「きょうからこんな生活だけど、頑張れよ。」




少し晴れの顔が赤く見えたような気がしたが、その表情は一瞬で消え去った。




それよりも、こんな生活って?毎日こんなことばかりするしかないの?



意味がわからないよ。




もう一度聞きたくなって晴のほうを向くと、晴はもう体育館の出口で手を振って出ていってしまった。





「色めき立ってるねぇ」




朝聞いたような声がしたので、振り返ると、晴と少し似たでも少し甘い声が響く。




「みっ、雅さん。そんなんじゃないですよぉ。」




そんなことを言える勇気がなく、語尾が小さい声でしか言えなかった。




あさは、嫉妬してくれていたと思っていいのかな?