でも、あからさまに見るのは悪いと思ったので、壁の横から顔を出した。




なんだか、自分の家なのに自分の家に感じない。




それに、泥棒気分だ。




二人はなにやら話し合っている。




だんだん激しい言い争いになって大声になったとき、二人の会話が聞き取れた。






「他のメンバーには言わんけんどな、俺もやし他のみんなも大事におもっとる怜桜ちゃんやで?今の俺はお前の事殴り足りひんと思うとるし、他も、そうなるで。ちょっとかわいそうやで、みんなにはいわんけど、階段にぶつけてやったんやで………」





関西弁のとてもかつぜつがいい声が、廊下に響く。





「その、怜桜が、潤んだ瞳に赤い顔、上目遣いまでされたのに理性が保ってられるんですか?龍さん。俺は、怜桜を汚さないことのために残り少ない理性を保ったんですよ」





「そっ、それは耐えらへんなぁ。晴の気持ちも分からんでもないが………なぁ。」





すると二人はコクコクと頷き、階段を上っていった。




いまは、9時半。





ピンポーン。





静かな廊下にやけに響く電子音。




こんな夜に誰かが来た様子。





急いでパジャマから、すぐそこにあった少し丈の短いワンピースを着て、扉を開けると






「夜分遅くにすみません。怜桜様でいらっしゃいますか?」