「あ……あの……私、帰っ……」
どうしていいかわからず、私は帰ろうとした。
それを彼は止めた。
「どうぞ、お座りください」
断ろうと思えば断れるほどの誘い。
それでも断れなかったのは……私が彼に惹かれたから……?
「ワタクシはこの喫茶店の主、亘理と申します。
これから貴女様がご所望の、最高の一杯をご用意させていただきます」
何も注文していない私に、亘理と名乗った男は、ホイップクリームに刻みチョコが乗ったココアを差し出してきた。
「甘そう……」
「しかし今の貴女様にピッタリでございますよ」
亘理は小さく頭を下げた。
……私に……ピッタリ?

