何曲か披露していたが、曲を楽しむ余裕はあまりなく、とにかく勇介に釘付けだった。 いつ練習したんだろうとか、こんな人前で発表するの得意じゃないはずだから気の毒だったりとか色んな気持ちで心が忙しい。 一生懸命演奏をこなす勇介はさすがという感じで、惚れ直したような感覚。 ステージは熱い盛り上がりをみせ、釘付けだった私の体は騒いではないはずなのに熱かった。 「潤ちゃん、どうしよう。倒れそうだよ。」 「え?なに?よく聞こえない。」 潤ちゃんは耳をこちらに向ける。