-部恋。Round.03-



「文句も言い様のないアキラの対応に俺は何も言えなくて、何も出来なくて一歩も足が出なかった。任せることしかできなかった。」


「今まで弟みたいに感じてたアキラが初めて男なんだって実感して。散々愛奈にもアキラとのこと拗ねてたりしたけど、あんな感情は初めて。心底アイツに嫉妬した。男から見てもすげーカッコよかった。」



私は勇介の頭に触れる。
不甲斐ない勇介の気持ちが痛いほど分かって、何も言葉が出てこなかった。

ベッドからおりて小さくなった勇介をそっと抱きしめる。


「勇介ありがとう。」

「―――――…。」

「無我夢中で倒れた私の元に走ってくれてありがとう。私のことばっかりじゃなくてそのあとの練習に穴をあけずに参加してくれてありがとう…。髪を乾かすことも忘れて急いで会いにきてくれてありがとう。」



ありがとうを伝えていると、涙が滲む。何だか胸がいっぱいなんだ。