-部恋。Round.03-



「倒れてからのことって覚えてる?」

「ううん…倒れてから意識がすごく遠くにあってうまく覚えてない…。」



「愛奈が倒れたとき、もう休憩に向かってたんだ。グラウンドが騒がしくなったから振り向くと部員が走って向かう先に愛奈が倒れてた。」

勇介はうずくめた顔をあげて私と目を合わせる。


「隣に一緒に驚いた健がいて俺に何か指示出してたけど何も耳に入らなくて気付けば愛奈の元に全速力で走ってた。」

勇介は少しうつむくと私の手をそっと握ってためらいがちに話を続けた。



「……すると愛奈を囲ってた部員たちが道を開けたかと思うと、お前を抱えたアキラがいた。」


私は驚いて勇介を見ると切なそうな表情をみせた。



「ぐったりした愛奈をアキラがしっかり抱えて『道を開けろ』って呼びかけてて。救護室に走ってくコーチに『部屋に連れてくから急いでください!』ってさ。カッコよかったよ。」

私は黙って勇介の話を聞きながら胸がチクンと痛んだ。