『長川、お疲れさん。』

後ろを振り返ると監督が私を見下ろして少し微笑んでいた。


『長川は毎日文句言わずに頑張ってるな。』

そう言って監督は同じベンチに腰をかける。


「そんなことないですよ。文句だって言いたくなるときはありますよ。」

私は笑ってそう言うと、監督も一緒に笑ってくれた。


『文句は言いたくなっても、実際には口に出してないだろ?』

「ま…、そうですね。」


『最初は1年もつのか心配だったが、お前も入部して1年たつんだよな。』

「そうですねー…。」


入学して少し遅れたサッカー部の入部。
去年の今頃、健ちゃんに誘われて入部を決めたんだ。