鉄の救世主(くろがねのメシア)

それでも手を止める訳にはいかない。

それは豊田や麗華も同様だ。

呼吸を乱し、全身に汗をびっしょりかいて。

それでも豊田も麗華も、手を、足を止める事なく救助活動を続ける。

…豊田の自慢の長い栗色の髪も、既に粉塵と汗で汚れてしまっていた。

麗華などは顔に黒い汚れが付着してしまっている。

同年代の若い女性はオシャレや化粧に気を使う中、彼女達は形振り構う事なく他人の為に被災地を走り回っている。

きつくない筈がない。

それでも不平不満は口にしなかった。

自ら選んだ任務だ。

自分を押し殺してでも、他人を守る為に身を削った。