鉄の救世主(くろがねのメシア)

現場に到着して救助活動を開始して、一時間が経過。

少しずつ舞い上がった粉塵も晴れ始める。

ガスマスクを外し、小川は大きく息を吐いた。

既に顔中汗まみれだ。

…現場は想像以上の惨状だ。

落着現場から相当離れたこの場所でさえ、ここまでの被害を受けているのだ。

落着現場である中心街が消し飛ばされたというのも頷ける。

…もう助ける事さえできない、隕石の犠牲になった人々。

無念に歯噛みする。

何の役にも立たないと市民になじられても、小川は何も返す事が出来なかった。