「なぁ、実愛ちゃん」
「はい?」
先輩を見上げても、視線は合わず
先輩は何かを考えるように空を見ていた。
「あの丘、行かねぇ?」
「へっ?」
「丘からの方がきれいに見えるよ。花火」
「あ、そうですね!」
行ってまた帰ってくればいいか。
ここからそんなに距離ないし。
で、でででも……!
先輩と二人っきりってことー!?
さすがにそれは気まずいというか
恥ずかしいから
「あの、皆で行くんですよね?」
一応、念は押してみた。
「いや、二人だけ。あの場所は
俺たち以外に知られたらダメだかんな」
ニッと口角を上げた先輩の表情に
ドキッとしていると
突然手を握られて、大勢の人の間を
縫うようにあの丘を目指した。


