「……え?」 先輩の言葉が理解できずに 呆然とするあたし。 「方向、一緒だろ?」 「そうですけど…」 「俺と帰るのイヤ?」 少し悲しそうな瞳を見て 慌てて首を横に振った。 「とっ、とんでもない! むしろ、送って貰うなんて 先輩に悪いですっ」 「俺が実愛ちゃんを送るって 言ったんだからいいの!」 そう言うと、先輩は 逞しいような、強いような とにかく男の人ならではの 笑顔を見せてくれた。 そんな一面を見たあたしが より一層先輩に惚れたのは 言うまでもないんだけどね。