となりの女の子

時折、

「やりたいことがあるって凄い事だよね。寛ちゃんに野球があるように、何かを見つけたくて悩んでるんだってよ、颯ちゃん。」

「え?」

喋り過ぎるトコロもあるが、

「頭が良いから色んなコト考えちゃって大変だね。…手遅れにならないようにって言うけど、勉強だってスポーツだってデキるんでしょ?」

「…それ、颯太から聞いたの?」

「まぁね。でもさ、中2って言ったら悩み多き年頃だもんね!私も悩んだなぁ…恋に。なんちゃって!」

「あははは。(なんだ、俺だけが気にしてるワケじゃなかったんだ…)」

ふと、気を紛らわしてくれることがあるのだった。


「ハヤシライスなんだけど。」

「あ、いーっすねー。」

「キッチンで手洗って。」

「はーい。」


と、そこへ

「お〜い。あーちゃん出るよ〜。」

葵のパパの声がして、

「あ、はーい!ゴメン寛ちゃん、お皿はこれ、好きなだけよそって食べてて!」

「あ、うん。了解っす。」

ちひろは浴室へと姿を消した。


そして、遠慮という言葉を知らない寛太の目の前にあるハヤシライスは、もちろん大盛りで、
まさに今に頬張ろうとしていた時、

「かんか〜ん!」

パジャマ姿の葵が現れ、

「あー!ダメダメ!俺バッチッチだからパジャマ汚れちゃう!」

早く空腹を満たしたくて、上手くあしらうのだった。