となりの女の子

「おまえに出来て兄貴にも出来るなら、兄貴に出来ておまえに出来ないこと無いだろうって…確認したくてな。」

「…何がっすか?!」

「おまえの授業態度について教科担任からの苦情が絶えないんだ!“学校は勉強するために来るんであって、授業中は部活のための体力温存の時間じゃないんです!”ってな。」

「なんでそこで颯太が出てくるんだって聞いてるんすよ!」

「使える人材を発掘したいからに決まってんだろ。野球部顧問だからさ、オレ。…兄貴に拘ってるワケじゃないぞ。まずは確認してみたくてなぁ…だってホラ、手っ取り早く済むかもしれんだろ?…でも知ってたか?オレって、野球部顧問である前に中学教師なんだなぁコレが!…色々と考えなきゃならんのだぁ。」

「勉強できる奴からレギュラーを決めるってことですか?!」

「あまりにも酷ければ、そりゃあ勉学に励んでもらわんと…野球の下手な奴には、オレがいくらでも教えてやれるけどなぁ。」

「…」

「だろ?」

「…イーっすよ。やってやりますよ!やれば良いんですよね!!」

「…お、おう!(なるほど。単純なんだ…って言うか、かなり兄貴にコンプレックス持ってるんだなぁ。)大変だろうけど…頑張れ!協力するぞ!」

「帰ります!勉強しなきゃならないんで!」

「そうだな。あ!まずは宿題だ!ソコからはじめよう!な!」

「ちっ!失礼します!」

「ん!真っ直ぐ帰れよ!」


もちろん、颯太が野球部に入部することはなかった。
が、
それからと言うもの、寛太が宿題の提出を怠ることはなくなり…おかげでテストの成績もアップした。


「やれやれだな…」