昨日と同じ朝がきた。
昨日と同じように、寮母さんに行ってきますの挨拶をして。
今日の寮母さんは少し俺を励ますように行ってらっしゃいと言ってくれた。


昨日、考えた俺なりの答え。
それは、“りなに幸せになってもらうこと”。


たった1日だけだけどりなに恋をした。
りなはいつからかはしらないけど、きっとずっと前から総のことが好きだったのだろう。


だから、俺はりなの幸せを願うよ――?


「おはよう」


3組の窓からりなに向かって挨拶した。


「…何?」


やっぱり、態度はそっけなくて胸が痛んだ。


「俺、りなのこと好きなんだ。」


「えっ…?」


驚いた表情を見せるりな。
でもすぐに、ごめんなさいという言葉がかえってきた。


「知ってるよ、総のことが好きなんでしょ?」



「…なんで知ってるの?」


ずっと俯いたままのりなが小さな声で言う。



「見れば分かるよ、誰だって。」



しばらくの沈黙。



「幸せになってよ。絶対。」



先に口を開いたのは俺。



俺の一言にずっと俯いていたりなが笑顔をむけて“ありがとう”と言った。



「俺こそ、恋を教えてくれてありがとう。」


そう言って、教室へと戻った。


こうして俺の初恋は幕を閉じた。


―――――――さよなら、僕の初恋。


           END