「こんなに笑ったの久しぶり。改めて礼を言わせて。 ………ありがとう。」 そう言ったアリスさんは、あたしに優しく微笑んでいた。 だからあたしも微笑み返す。 「……あたし、それでもまだあなたを許すことはできない。 でも、今回の恩は絶対に忘れない。」 「……はい。」 「それじゃ、また明日。歩夢待たせてるから。ごきげんよう。」 「ごきげんよう。」 アリスさんはくるりと向きを変えて、教室のドアまで足を進める。 今日、この瞬間、アリスさんとの距離が縮まった気がした。