そこには思いがけない光景が広がっていた。


こぼれ落ちる血。


なのに誰も倒れていない…。


「あぁぁ…あああぁ…っ!!」


叫び狂う柚菜様。


アリスさんにはどこにも刺されたような痕はなく、乱れた呼吸を整えていた。


それでもなお、血は床にこぼれ落ちる。


それは、ナイフの刃の部分を大きな手が握っていたから。




その手は…、





























……柚菜様の執事の手だった。