「はぁ、はぁ、着いた!!」

「ギリギリセーフだな!」

二人は顔を見合わせ笑い会う。

「本当にキレイ!!ケンちゃんの言ったとおりだ!」

「だろ!!ここからの景色と夕日は最高だって!」

「うん!!」

二人の目的地はこの高台から見える景色と西の空に沈んでいく夕日を見ることだった。

段々、あたりは燃えるようなオレンジ一色になり、あっという間に夕日は沈み暗くなる。
夜の訪れ。


夕日は沈んだというのにまだ帰ろうとしない。

「ケンちゃん…お別れしたくない。」

女の子は泣きながら男の子に言う。

「仕方ねぇだろ…なっちゃんのお父さんが転勤なんだし。」

男の子の言葉がショックだったのか、女の子の涙は増える。
どう慰めたらいいのかわからないようで、慌てている。

「あー、仕方ないけど、俺はなっちゃんのこと忘れないから泣くな!!」

「ひっく、ぐず、うん。あたしもケンちゃんのこと絶対忘れない!!絶対にまたケンちゃんのところに戻ってくるからね!!」

「おう!約束だな!!」

「うん!約束!!」

二人は街灯が灯り始めた仄かに明るい高台で指切りをした。