「ケンちゃん!!待ってよー!!」

「なっちゃん!遅い!!早くしないと間に合わないだろ。」

5、6歳の女の子と男の子が高台に向って走っていた。

「はぁ、はぁ、ごめんねケンちゃん。」

男の子に追いついたときには息も絶え絶えで膝を折って息を整えていた。

「ほら。」
息を整えて伏せていた顔の目の前に男の子の左手が差し出される。

「ケンちゃん!!」

女の子は差し出された手を掴み嬉しそうに笑う。

「しょうがねぇだろ、なっちゃん足遅いから。」

男の子は恥ずかしそうに顔を背け、女の子を引っ張り走り出した。