後ろ姿だけしか見えなかった。

だけど、
それだけでも、


私の視界は貴方しかいなかった。


初めて会って

名前も知らないし

しかも
私は貴方の事を知ってても、貴方は知らない。



「く、る、みっ!!」



『う゛わっ!!』


前からの
いきなりの
抱擁を受けたせいで、
体が後ろへと


ぐらつく。



『何なの?』



「え?
だって、胡桃がいたから。

朝、いつもの場所で待ってたのに
来なかったから

ここで待ってたのに。」


そんなに悲しい顔を、しなくても良いのに。


私が遅刻しそうになってたから

未来(みく)は、
ここで待ってたんだ。

と理解する。


と同時に違う思考も浮かぶ


それは、今って遅刻寸前って事?


周りを見渡すと、人は全く居なくて
もちろん、銀色の男の子も居なくて




有無を言わず、私達は走るしかなかった。