チェリーガール

机には、すだちがコンビニで購入したというお茶とおにぎり、私が家から持って来たキャンディとマシュマロの袋が置かれている。



すだちは、おにぎりをかじっていた。


口にキャンディを含んだ私は、碧様をただひたすら見ていた。


「見過ぎだよ。いつかバレるよ」


すだちに注意される。


「バレてもいいもーん。ってか、好き好き光線をわざと送ってるんだよー。気持ちに気付いて欲しくて」


「そう。まあ、頑張れば?」


今は、予備校の休憩時間。


30分もあるんです。


だから、この時間はハッピータイム!!


碧様、見放題!!


最高だよー!



「たまきはクラスにいるの?」


「ううん。いない。今日休み」


「はあ。そう。わかった……」


すだちは深いため息を吐いた。


たぶん、たまきがなんで休んでるのか勘のいいすだちなら見当がついてるはず。


病欠じゃない。


たまきは只今、彼氏とデート中♡


予備校をサボったんです。


まったく受験生の自覚ナシ!!



「学校終わってここに来て勉強、勉強で私何やってるんだろう……」


「大学に受かったら遊べるよ。それまで、我慢、我慢」


「家に帰っても深夜まで頭にいろいろ詰め込んで彼氏と話す時間もなくて……」


「受験終わったら、いくらでも彼氏と話せるようになるよ」


「心愛もたまきもいいね。恋してる、青春してるって感じする。私は受験ノイローゼ……って、心愛はさっきから私の顔見てない。人と話をする時は、ちゃんと顔見ようよ……」