チェリーガール

「あっ、そうだ」


たまきが、いきなり真面目な顔になる。


何なの、この切り替わりの速さ?


「これ、どうしようかなー? 言っちゃおうかなー? うーん」


天井を仰ぎ、何やら悩んでる様子のたまき。


何なの?


「いやー、あのね。口止めされてることがあってー。どうしようかなーって……」


「誰に口止めされてるの?」


「学校の友達」


「教えてよ。何? 何?」


「うーん。喋ったら怒られるー。どうしよー?」


たまきは下を向いて自分の和風ハンバーグの残りを見つめた。


そして、下を向いたまま黙々と食べ始めた。


しばし沈黙が流れる。


沈黙を破ったのは、気になってしかたない私だった。



「いったい、何の話なの? ひょっとして碧様関連?」



「うーん。まー、そんな感じ……」


「何の話なんだよー。気になるよー。知りたーい!」


「うーん。でも、さっき碧君にひいてなかった?」


「ちょっと……ひいたけど……」


「じゃあ……いいじゃん……。忘れよ……」


たまきは、和風ハンバーグを全部食べてしまった。


それから、私のシーフードスパゲティの皿に視線を落とす。


「これ、くれる?」


「うん。さっき、私あげるって言ったじゃない」


「本当に?」


感激して目を見開くたまき。