チェリーガール

さすが母親。


鋭いなー。


よく観察してます。


どうやら私、予備校に行く前になると顔が自然にほころぶみたい。


「よかったわ。行かせて本当によかった」


なぜかお母さんは感激してる。


なぜ?


「よっぽど勉強が好きなのね。行かせて正解だったわ」


目を輝かせて喜んでる……。


違う……。


私が好きなのは、勉強じゃなくて碧様……。




そろそろ時間だから行こう。


バッグを持って食卓の椅子から立ち上がる。


「しっかり勉強してくるのよ」


「う……うん……。行ってきます」


笑顔で見送るお母さんを見て
やや複雑な思いを抱えながら家を後にした。





外は雨が降っていた。


パラパラ降ってる程度だけど、傘を差して歩いた。