チェリーガール

よりによって、学校で一番恐い先生に怒られるなんて……。


最悪……。


しかも、クラスの生徒皆の前で怒られるなんて……。


最悪……。


しかも、『いや―――――ん!』ってカッコ悪すぎて……。


最悪……。




大恥かいたよ。


ぐすん……。


私って、もう完全に病気の域に達してしまったのかなあ?


病名:妄想病




▼ ▼ ▼ ▼ ▼


梨を小さなフォークで突き刺して口に運ぶ。


頬張りながら、食卓から窓の外を見ていた。


これから出かけるというのに、雲行きが怪しい。


視線を対面式キッチンで洗い物をしているお母さんに移す。


専業主婦でエプロン姿が様になってるお母さんと目が合った。








「顔、笑っているけど?」

不思議そうに私に聞く。






「え?」


「笑ってるよ」


「な……。笑ってないよ。真面目な顔してるもん」


「ううん。笑ってる。この頃、あなた予備校の時間になると口元が緩むのよ」