チェリーガール

「そういや、知ってる?」


たまきが目を輝かせる。


「桜って英語でなんて言うか?」


たまきが私に笑いかけて尋ねる。


「知ってるよ。高校で英語科、短大で文学科英語・英文専攻したくらいだもん」


「じゃ、答えてみてよ」


「桜の木は、チェリー・ツリー。桜の花は、チェリー・ブロッサム」


「じゃ、心愛と心愛のその彼氏は?」


「私は、チェリーガール。私の彼氏はチェリーボーイ」


「あっはは。そう、そう。ご名答!」


「もう! 言わせないでよ……」


この会話で、たまきのテンションが上がった。


「あはは! いつになったらチェリーガールを卒業できるんだろうね。一生、無理だったりして?」


たまきに言われて、チェリーガールを卒業する日が来るのか心配になった。


チェリーガール&
チェリーボーイ


私たち2人の性春はいつ?



「心愛ちゃん!」


少し離れたところにいた碧様が私を呼ぶ。


碧様は、桜の枝の下にいた。


私は、碧様のすぐ近くまで寄った。


「これ見て!」


新発見でもしたかのように、碧様はやや興奮している。


碧様の手のひらには、薄いピンクの桜の花びらが2枚載っていた。


2枚の花びらがくっついて、ハートの形になっていた。


可愛らしい。


「ハートだね」

碧様に話しかける。


「うん」


「この2枚の花びらは私たちのようなカップルなのかな?」


「そうかもしれない」


「ずっと、これからも一緒にいようね♡」


「うん」


「ずっとだよ?」


「うん、こうしてね」


碧様は、そう言うと片腕を私の背中に回してそっと優しく肩を抱いてくれた……。







END