チェリーガール

「ねー。これからのデートの予定は?」


軽い調子でたまきが、聞く。


「ない」


碧様が即返事を返す。


「え~? マジで? 映画見て食事して、それで終わりー? ダメだよ、それじゃ」


「どうして? 別にいいじゃない。私と碧君のデートなんだから」


「部外者は、口を挟むなって言いたいの?」


「イエスと言ったら?」


「速攻、仲間はずれ」


「うそです。ごめんなさい。私もこれじゃあ、味気ないと思う」


「でしょ?」


「でも、どこ行くの? 何するの? 恋愛初心者の私には、わからないよ」



私の言葉に、たまきが立ち止まる。


そうして、しばらく考え込む。


歩こうとしない。


私も碧様も、たまきを待った。


「刺激が足りない」


ようやく、たまきの口をついて出た言葉がそれだった。


「え?」


私と碧様の声は、ハモった。


それってどういうこと?


「こんなの老夫婦のデートだよ。若者のするデートじゃない。そうでしょ?」


そう言われてみれば……。


たしかに、そうかもしれない。


私たちは清い付き合いしかしていない。


キスもHもまだ……。