エレベーターを降りて私たちは、ホールから出口に向かった。


「これから、どこ行く?」


「メシでも食いに行けへん?」


「メシ……。ご飯ね……。うん。いいよ」


「その前にチケット販売所、寄って」


「なんで?」


「漫才見るのに、チケット買うねん」


「漫才!?」


私、驚きのあまり足を止める。


「どしたん?」


碧様は、振り返って私を見た。


漫才って、あの漫才?


ってか、なんで漫才見るの?


「漫才を見るのは、なんで?」


「決まってるやん」

碧様は、目を細くして笑う。

そして、私にこう告げた。


「好きやからやで」



ぎゃ~!!!


嫌ー!!!


ひょっとして、お笑い好きー!?


それは、嫌ー!!


ますます現実と理想のギャップを感じる。


お願いだから、うそって言って。


お願い……。


「好きな漫才師は誰?」

碧様は、変にノリ良く聞いてくる。


「そんなの、いないよ」


「お笑い、見ないの?」