「そう。私は、弁護士になる。そのために六法全書片手に勉強する。これからも続けるよ。司法試験を受けるから」


「へー。そういや法学部だっけ? よく文Ⅰ受かったね。すごいよ」


「これからが大変だと思う。弁護士目指してるから。司法試験に一発で合格できたらね」


「なーんか高校を卒業してから、すだちがどんどん遠くへ行っちゃうような気がしてきた。行かないでー」


「どこにも行かないよ」


「エリートじゃない」


「それは、そうかもしれないけど友達であることは変わらないよ」


「ずーっと、私と友達でいてくれる?」


「何言ってるの? 怒るよ? 卒業式で言ったよね?」


「あー」


「私たちの友情は卒業しても変わらないって」


「そうだったね。弁護士になっても私と遊んでね」


「うん。ずっと友達だよ」


「あー、すだちは優しいなー。東大生になっても威張り散らさないんだもん。人格者だよ。尊敬するのを通り越して私、レズになっちゃうかも」


「それ本気?」


「うそ、うそ。冗談」


「私には彼氏がいるから」


「わかってるよー。彼氏も大学受かったんだよね。よかった、よかった」


「心愛も大学受かるといいね。少しでも勉強したら?」


「勉強家だなー」


「勉強家じゃないと東大には入れません」


「そっか」


バタン。


急に私の部屋のドアが開いた。


お母さんが部屋の前にいる。


何か用があるみたい。