チェリーガール

「世の中にいらない人間なんていないよっ!」


「でも、私は心愛にヒドイことした。私のせいで好きな人に嫌われちゃったんだよ? 私なんかいない方がよかったのかなって……。こんな私と今まで通り仲良くできる? 嫌いになったでしょ?」


「嫌いになんかならないよっ!」


「だって……好かれてたんだよ? この薔薇……見ればわかるじゃん……。私が変なことしなかったら……2人は付き合えたかもしれないのに……。私が2人を引き裂いたようなもんだから……だから……」


「らしくないよ。たまきは、そんなんじゃない。いつも元気で笑ってるのがたまきでしょ。泣かないで。私は平気。全然平気だよ。嫌われても気にしてないから。だから、自分を責めないで。大丈夫だってー。ほら、笑ってるでしょ?」


私、わざと笑顔を作る。


ちゃんと、笑えてるかな?


たまきは顔を上げて私を見た。


たまきは悪くない。


悪くないよ。


だから、ずっと友達でいてほしい。


私の気持ちは伝わっただろうか?


「本当?」


「ホント、ホント。気にしないで」


「私なんかに気ぃ遣ってない?」


「気なんか遣ってないよ。何言ってるの? たまきなんかに気は遣わないよ。あは。べーだ」


少し舌を出して、おどけてみせる私。


今は、演技を続けなきゃ……。


熱があって体だるいけど……。