「心愛。全然カッコよくない男の子が見舞いに来てくれたわよ」


お母さんが、後ろに碧様がいるというのに気にせず問題発言。


『全然カッコよくない男の子』って確実に碧様に聞こえてるよ……。



というわけで、私の願いは空しく碧様はやって来てしまったのです。


お母さんは碧様の前から姿を消して階段を降りていった。


碧様は、2階の私の部屋の前で立ったまま硬直して動かない。


随分、驚いてる様子……。


でも、私も驚いた。


だって、碧様の手には薔薇の花束。


薔薇だよ?


真っ赤な薔薇。


碧様ってクールに見えて、意外と情熱的な人?


「うわっ。その花束すごくない?」


たまきが驚嘆の声を上げる。


本数を数えると、30本。


30本といえどもインパクトある。


それ、私に?


だとしたら、メチャ嬉しい。


でも……。


動かない……。


「あれ? 碧君、そのボロの毛糸のやつ何?」


たまきが碧様の首に巻きつけてあるボロマフラーに注目した。


やだっ……。


うそ……。


それ、私が編んだマフラー!!


あの灰色のボロボロのだよ!!