「なんか物が埋もれてるよ。参考書とか問題集とか。勉強机には漫画や雑誌がいっぱい積んで置いてあるし。片付けた方が良くない?」


「今は風邪で片付けられない……」


「それは、そうだけど。でも、今すぐ片付けた方がいいかも」


「どうして、たまき?」


「来るから……」


意味深発言するたまき。


誰が来るっていうの?


すだち?


すだちは今日、来ないよ。


だって、もうじき入試だもん。


風邪引いても見舞いに来れないって連絡があった。


『お大事に』ってメールだけくれた。


私だって頑張ってるすだちの足を引っ張りたくない。


だから、見舞いに来てほしくない。


「すだちは受験勉強してるから来ないよ……。う……ゴホッ。く……苦しい……」


はあ、はあ、はあ。


苦しい……。


ちょっと前に鼻水、咳、くしゃみが出て変だなとは思ってた。


そのうち、寒気もし始めた。


でも、ほったらかしにしてた。


そうしたら、こうなったというわけ。



「そうだ。見舞いの品。ほい」


たまきが白いポリ袋から缶のスポーツ飲料を出して私に差し出す。


「どうもありがと」


私、布団から手を出して受け取る。


そして、上半身を起こす。


喉が渇いていたので缶のフタを開けて飲んだ。