私は孤独だなー。


好きな人はできたけど、ゲットできるかどうか……。


私は黙って氷のたっくさん入った紙コップのコーラを飲み干した。



「でも、二人はいいなあ。同じ学校でさー。私も緑川に転校しよっかなー」


頬杖をついて、たまきは大きく口を開けて言った。


緑川っていうのは、私とすだちが通う高校名。


「どうして? 学校楽しいんでしょう? 何が不満なの?」


プリ帳に目を通しながら、すだちが聞いた。


「そう、そう。前は、『楽しい』って言ってた。『学校なくなったら死んじゃう』ともね」


私も話に入る。


「だってー、2学期からもろ受験ムードで友達が遊んでくれないんだもーん。寂しいよ。相手にされてないっていうか……。だから、鬱になりそう……」



「真面目な学校だからね。しょうがないんじゃない? たまきがそういう学校選んで入ったんだから」


「そう、そう。すだちの言う通り。そもそもたまきのような遊ぶ気満々の生徒がなんであの学校にいるのか不思議。換わって欲しいくらい……」


「心愛が換わって欲しいのは碧君がいるからでしょ!! 勉強する気はないじゃん。入っても孤独だよー。私ら不真面目な生徒はあの校風には馴染めない。息がつまる。やっぱ緑川の方がいい。なーんで桃陰なんか受けたんだろー? しかも、受かっちゃったんだろー?」


桃陰の正式名称は桃陰(とういん)学園高等学校。



私立の男女共学で偏差値がすこぶる高いことで有名な名門校。


勉強だけでなくスポーツも強くて数々の著名人を輩出しているエリート養成校。
(とにかく、すごい学校なんです。はい)



あんな学校で成績優秀ってどれだけ碧様すごいの?


ますます尊敬するし、もう大好き!