チェリーガール

突然、玄関の格子戸が少し開いた。


「静かにしてくれないか」


この声は、碧様?


「あーお! 会いたかった~♪ これ渡したかったんだ」


さっきとは態度が打って変わって、ERENAは急に甘ったるこい声を出す。


イヤ~な女……。



格子戸が全開に開く。

碧様はなんと、はんてん姿で登場。


冬だもんね……。



「やーだ。碧ったら超面白い。渋い」


ERENAは、身をよじって笑う。


「受験前なんだ」


碧様は、神経がピリピリしてるよう。


邪魔したら悪いとは思うんだけどなー。


ガサガサと音がしたので
ERENAの方を見ると
鞄から何やら取り出そうとしてる。


「碧。はい、これ。バレンタインだから」


先攻は、ERENA。


先に渡すみたい。


でも、いったい何を?


「バレン……タイ……ン?」


碧様は、何やら考え込んでいる。


とても真剣な眼差し。


今日、バレンタインだよー。



「忘れてた? 受験で頭いっぱい? でも、バレンタインを思い出して」


さわやかに笑いながら、ERENAは碧様にプレゼントを見せる。


ラッピングされた箱。


あの中には何が?


気になるなー。